はっきりとした出来事があったわけじゃない。
誰かと揉めたわけでも強い言葉をぶつけられたわけでもない。
それなのに最近やけに疲れていると感じていた。
仕事が特別忙しいわけでもない。
残業が続いているわけでもない。
睡眠時間も、極端に削られてはいない。
「年齢のせいかな」
最初はそう思った。
30代後半になって疲れが抜け
にくくなっただけかもしれない。
そう考えれば
特に深刻に受け止める必要はない。
それでもこの疲れ方は
今までのものとは少し違っていた。
身体よりも気持ちの方が重い。
朝起きた瞬間から
すでにどこかだるい。
何かをしたわけでもないのに
一日が終わる頃には
必要以上に消耗している。
家に帰ってきても
「やっと休める」という感覚が薄い。
ソファに座っても気持ちが落ち着かない。
何をするわけでもなくただ時間が過ぎていく。
嫁と会話をしても特別な衝突はない。
むしろ穏やかですらある。
だから余計にこの疲れの理由が分からなかった。
「何も起きていない」
そのはずだった。
それなのに一日を終えるたびに
どこか張りつめた感じが残る。
気づかないうちに常に周囲を意識している。
言葉の選び方、空気の変化、相手の反応。
以前なら無意識で済んでいたことに
少しずつ神経を使っている。
その積み重ねが疲れとして表に出ている気がした。
何かを我慢しているわけでもない。
無理をしているつもりもない。
それでも、
「何も起きていない状態」を
維持すること自体が負担になっている。
そんな感覚だった。
理由が分からない疲れは
対処のしようがない。
休めば解消するわけでもない。
気分転換で消えるわけでもない。
ただ静かに溜まっていく。
この疲れが何なのかまだ言葉にはできなかった。
ただ一つ分かっていたのは
以前と同じ感覚で日常を過ごせていないということだった。
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