これまでは、
ただ感じているだけだった。
違和感や、引っかかりや、
説明しにくい感覚を、
そのまま抱えている状態に近かった。
はっきりした出来事として残していたわけでもなく、
何かに書き出していたわけでもない。
頭の中で何度も思い返して、
また日常に戻る。
その繰り返しだった。
でも、
少しずつ自分の状況を
言葉にし始めるようになった。
きっかけは、
特別なものではなかったと思う。
ただ、
このまま曖昧なままにしておくと、
自分でも分からなくなりそうだと感じた。
何が気になっているのか。
どこで違和感を覚えたのか。
それを一度、
そのままの形で残してみようと思った。
最初は、
うまく言葉にできなかった。
説明しようとすると、
急にぼんやりしてしまう。
さっきまで確かにあったはずの感覚が、
文章にしようとすると逃げていくような感じだった。
それでも、
短い言葉でもいいから、
その時に思ったことを書き留めるようにした。
「なんとなく気になった」
「少し違和感があった」
そんな程度の言葉でも、
残していくことに意味がある気がした。
そうして並べてみると、
自分が何に反応しているのかが、
少しずつ見えてくる。
同じような場面で、
同じような感覚を覚えていること。
気にしているポイントが、
何となく共通していること。
それまでは、
その都度感じて終わりだった。
でも、
言葉にすると、
それが「記録」になる。
記録になると、
あとから見返すことができる。
その違いは、
思っていたより大きかった。
時間が経っても、
その時の自分の感覚が
そのまま残っている。
思い出そうとしなくても、
そこにある。
書き出していくうちに、
少しずつ文章も長くなっていった。
最初は単語に近かったものが、
短い一文になり、
少しだけ状況も添えるようになった。
何があったのか。
どう感じたのか。
それを順番に並べるだけで、
頭の中が静かに整理されていく。
感情を強く乗せるわけでもなく、
無理に結論を出すわけでもない。
ただ、
その時の自分の状態を、
そのまま言葉にしていく。
それだけの作業だった。
それでも、
「言葉にしている」という感覚は、
自分にとって思っていたより大きかった。
曖昧だったものに、
少しずつ輪郭がついていく。
何となく不安だったものが、
どこにあるのかが分かってくる。
まだ、
意味づけはしていない。
良いとも悪いとも、
判断はしていない。
ただ、
自分の状況を、
自分で説明できる形に近づけている。
もし誰かに話すことがあったとしても、
この言葉たちが
そのまま土台になるのかもしれない。
そう思うと、
書き留めること自体が、
少しだけ安心につながっている気がした。
頭の中だけで抱えているよりも、
外に出した方が、
冷静に見られる。
それを、
少しずつ実感し始めている。
大きな変化はない。
状況が急に動いたわけでもない。
ただ、
自分の中にあるものを、
一つずつ言葉にしているだけ。
でも、
その小さな積み重ねが、
今の自分には必要な作業のように感じている。
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