過去の記録を読み返していて
自分の変化に気づいた。
特定の一文がきっかけだったわけではない。
全体を眺めていて何かが違うと感じた。
何が変わったのかは、
すぐには言葉にできなかった。
考え方が大きく変わったというより、
物事への反応の仕方が静かに変わっていた。
以前は、
嫁の言動一つひとつに意味を探していた。
声の調子がいつもと違う気がする。
返事が少し遅い。
目が合わなかった。
そんな細かな要素を拾い集めては、
勝手に理由を考え、
安心したり、不安になったりしていた。
一つひとつは小さなことだった。
でも、
それらが積み重なると、
一日の気分を左右するほどの重さになっていた。
今の記録には、
そうした揺れがほとんど見当たらない。
代わりに書かれているのは、
「何があったか」
「どうだったか」
という事実だけだった。
感情を書かなくなったわけではない。
寂しさや戸惑いが消えたわけでもない。
ただ、
感情が文章の中心ではなくなっていた。
嫁と過ごす日常は、
以前と大きく変わっていない。
会話の量も、生活のリズムも、
劇的な違いは見られない。
それでも、
それを受け止めている自分は、
確実に変わっていた。
期待しすぎない。
落胆しすぎない。
その場で結論を出さない。
そういう姿勢が、
意識しないうちに、
身についていた。
この変化を、
前向きだと断言することはできない。
楽になった部分もあれば、
実感が薄れたように感じる瞬間もある。
ただ、
以前のような考え方には戻れない、
という感覚だけははっきりしていた。
それが良いのかどうかは、
まだ分からない。
でも、
自分はもう同じ場所には立っていない。
その事実だけは
記録の中にはっきり残っていた。
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