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誰にも言えない確信を持っていた

この段階になると
話す相手がいないことがはっきり分かる。

いない、というより
最初から選択肢に浮かばない。

友人の顔が頭に浮かんでも
すぐに消える。
どう説明するのかが思いつかない。

家族のことも同じだった。
心配させるだけだ。
中途半端な話をする意味がない。

もちろん、
本人にはなおさら言えない。

言えば何かが起きる。
良くても悪くても今の状態には戻れない。
そのことだけははっきりしていた。

ある日の夜
本当に何気ない場面だった。

「何かあった?」

特別な表情でもなく
探るような口調でもない。
ただの一言。

「別に」

反射的にそう答えた。

それ以上何も聞かれない。
そのやり取りで会話は終わる。
以前ならそれで十分だった。

今は終わったあとに何かが残る。
言えない理由はいくつもある。

確証がない。
決定的な証拠もない。

もし違っていたら
取り返しがつかない。

傷つけたくない。
余計な不安を与えたくない。
壊したくないものが、
まだ多すぎる。

どれも、
もっともらしい理由だ。

でも、
一番大きい理由はたぶん別のところにあった。

言葉にした瞬間、
それが現実になってしまう気がする。

自分の中だけに留めている限り
まだ「考え」でいられる。

声に出せば、
それは「事実」になる。

たとえ相手が否定しても
たとえ何も起きなくても
自分の中ではもう後戻りできなくなる。

だから誰にも言えない。
言わないのではなく言えない。

それでも、
心の中には確かに残っている。

薄まらない。
時間が経っても消えない。

確信は、
共有しなくても消えない。

むしろ、一人で抱えている分
重さだけが増していく。

誰かに話せば、
軽くなるのかもしれない。

でも、
話したあとに起きる変化を
今は受け止めきれない。

だから、
この確信を一人で持ち続けている。

夜、
家の中が静かになると、
それはよりはっきり存在感を増す。

逃げ場がない。
紛らわせるものもない。

ただ、
そこにある。

この確信をどう扱えばいいのか。

どうすれば正解なのか。
どうすれば間違えないのか。

まだ、
答えは出ていない。

ただ一つだけ、
確実なことがある。

自分はもう、
知らなかった頃の場所には戻れない。

そしてこの確信は、
誰にも言えないまま、
しばらくは自分と一緒にいるしかない。

その孤独を、
受け入れ始めている自分がいることが
何よりも静かで重たかった。

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この記事を書いた人

「理由は分からないけれど、何かがおかしい気がする」
そんな感覚を抱いたことのある方に、少しでも共感していただけたらと思い、このブログを続けています。日々の出来事や感じたことを、自分なりの言葉で淡々と綴っています。

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