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小さなズレが重なっていく感覚

一つ一つは、
本当に些細なことだった。

わざわざ指摘するほどでもない。
気にする人のほうが神経質に見えるかもしれない。

会話の、ほんの一瞬の間。
返事の仕方の、わずかな違い。
予定を決めるときの、
どこか曖昧な言い方。

どれも、
単体で見れば問題にならない。

忙しければそんな日もある。
疲れていれば反応が鈍くなることもある。
誰にでも起こりうることだ。

だからこそずっと見過ごしてきた。

見過ごすというより、
意識的に意味を与えないようにしてきた。

「深く考える必要はない」
「たまたまだろう」

そうやって、
自分の中で処理してきた。

でも、
それらを一つずつ
記録として並べてみると
今までとは違う感覚が生まれた。

個別に見ているときには
気づかなかったもの。

点だったものが
線になり始める感覚。

少しずつ、
少しずつ、
位置がずれていく。

ほんの数ミリ。
測ろうとしなければ
気づかない程度のズレ。

大きく外れているわけじゃない。
致命的でもない。

元の場所から
決定的に離れたわけでもない。

それでも
一度ずれたものは
自然には元の位置に戻らない。

誰かが押したわけでもなく、
何かが壊れたわけでもないのに、
確かにそこにはズレがある。

そんなズレが、
静かに積み重なっていく。

最初は、
自分の立ち位置が変わったのかと思った。

自分の考え方が、
以前より敏感になっているだけなのかもしれない。

見方が変われば、
同じ景色でも違って見える。

だから、
「自分の問題だ」と
結論づけようとした。

次に、
気にしすぎているだけだとも思った。

考えすぎれば
何でもズレに見えてしまう。

そう思って
一度は距離を取ろうとした。

でも、
ズレは消えなかった。

気にしないようにしても、
意識の外に押し出しても、
そこにある感覚だけは残り続けた。

むしろ、
意識するほどはっきり見えるようになった。

輪郭が、
少しずつ明確になっていく。

ズレが重なると、
「違和感」になる。

一つなら、
見逃せる。

二つなら、
偶然で済ませられる。

でも、
それが続くと無視できなくなる。

違和感は、
強く主張しない。

ただ、
静かに存在し続ける。

そして、
気づいたときには
日常の中に溶け込んでいる。

今は、
その途中にいる気がしていた。

まだ決定的ではない。
まだ戻れる気もする。

でも同時に、
何かが確実に変わりつつある。

その感覚だけは
誤魔化せなかった。

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この記事を書いた人

「理由は分からないけれど、何かがおかしい気がする」
そんな感覚を抱いたことのある方に、少しでも共感していただけたらと思い、このブログを続けています。日々の出来事や感じたことを、自分なりの言葉で淡々と綴っています。

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