頭の中だけで整理しようとすると、
同じ考えを何度も何度も繰り返してしまう。
順序を変えて考え直しているつもりでも、
実際には、同じ場所をぐるぐる回っているだけだった。
考えているようで、
実は思考が進んでいない。
むしろ考え続けることで、
余計に疲れていく感覚があった。
書き出してみようと思ったのは、
答えを出すためではなかった。
正解にたどり着きたかったわけでもない。
ただ、
頭の中に溜まり続けているものを
一度外に出したかった。
今すぐ結論を出さなくてもいいから、
とにかくここにある考えや感覚を
外側に移したかった。
文章にすると、
感情は少し遅れてやってくる。
頭の中では
事実と感情が絡み合って、
区別がつかなくなっていたけれど
文字にするとまず事実だけが先に並んだ。
誰が、何を言ったのか。
何が起きて、
それがどれくらい続いているのか。
感情は、
それを見たあとで、
少し距離を置いて、
後からついてくる。
その時間差が、
思っていた以上に、
心を落ち着かせてくれた。
書いてみて分かったのは、
自分が思っていたほど、
混乱していなかったということだった。
混乱しているように感じていたのは、
考えが整理されていなかったからではなく、
頭の中に留め続けていたからだった。
外に出さずに抱えていると、
考えは形を持たないまま、
どんどん膨らんでいく。
でも、
文字として書き留めた瞬間、
それは一つの形になる。
書き残すことで、
考えは一時的に保管される。
今すぐどうにかしなくても、
ここに残っている、
という安心感が生まれた。
忘れてしまう不安も減ったし、
急いで結論を出さなくてもいい、
という余白ができた。
落ち着いた、というより、
呼吸が整った、
という表現の方が近い。
息が浅くなっていたことに、
後から気づいたような感覚だった。
何も解決していなくても、
答えが出ていなくても、
整理されていく過程そのものが、
自分を保つ助けになっていた。
書くことは、
前に進むための手段というより、
立ち止まるための場所だったのかもしれない。
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