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日常が疑問だらけになった

朝。

キッチンでコーヒーを入れながら
何気なく聞いた。

「今日、何時くらい?」

本当に、それだけだった。
予定を詰めたいわけでも
管理したいわけでもない。

「まだ分からない」

いつもの返事。
声のトーンも、
表情も特に変わらない。

「そっか」

それで終わるはずの会話。

以前なら、
ここで何も残らなかった。

今日は忙しいのかな
くらいで流れていた。

でも、
その「まだ分からない」が
そのまま残った。

なぜ分からないんだろう。
朝の時点で何も見えていないのか。

そう考えた自分に少し驚いた。

昼。

仕事の合間ふとスマホを見る。

メッセージは来ていない。
特に用事があるわけでもない。

連絡がないこと自体
何もおかしくない。

昼間は忙しい。
そんなものだ。

なのに
「来ていない」という事実が意識に引っかかる。

何かを期待していたわけじゃない。
確認したいことがあったわけでもない。

それでも、
確認してしまった自分がいる。

「何もない」
その状況を一度受け取ってしまっている。

夜。

玄関の音がして時計を見る。

思ったより遅い。

「遅くなる?」

自分から聞いた言葉が
少し硬く聞こえた。

「うん、たぶん」

その返事。

「どれくらい?」

自然な流れのはずだった。
ただの時間確認。

「分からない」

また、
同じ言葉。

短い会話。
それだけ。

責める要素もない。
喧嘩になる理由もない。

でも、
そのやり取りが終わったあと
頭の中に疑問が残る。

なぜ分からないのか。
なぜ決めないのか。
なぜ、毎回同じ返しなのか。

一つ一つは本当に小さなことだ。

忙しいだけかもしれない。
その場で判断できない事情が
あるのかもしれない。

全部説明はつく。
それなのに疑問が消えない。

日常は、
何も変わっていない。

朝は来て仕事をして夜になる。
会話もあるし生活も回っている。

変わったのはそれを受け取る側だ。
疑問が増えたのではない。

同じ出来事の中に
疑問を見つけるようになった。

以前は、
通り過ぎていた言葉。

今は一度立ち止まってしまう。

「なぜ?」と
考える前に引っかかっている。

日常そのものが
問いを含んで見える。

何かが起きている
という確信はない。

でも、
何も起きていない
とも言い切れない。

疑問だらけになった日常は、
不安というより落ち着かなさに近かった。

普通のはずの毎日が、
少しずつ信用できなくなっている。
その事実だけが一番はっきりしていた。

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この記事を書いた人

「理由は分からないけれど、何かがおかしい気がする」
そんな感覚を抱いたことのある方に、少しでも共感していただけたらと思い、このブログを続けています。日々の出来事や感じたことを、自分なりの言葉で淡々と綴っています。

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