意識して何かを変えたわけじゃない。
態度を改めようと決めたわけでも、
距離を取ろうと考えたわけでもない。
ただ、
気づいたら以前と同じ振る舞いができなくなっていた。
何も考えずに話すこと。
深い意味を持たせずに笑うこと。
曖昧なままその場の空気に任せて流すこと。
どれも、
少し前までは特別な意識をしなくてもできていた。
考える前に体が動いて言葉が出て笑っていた。
今は違う。
何かを言おうとすると一拍、間が空く。
この言い方でいいのか。
今、この話題を出して問題ないか。
余計な意味を含んでいないか。
そんな確認が無意識のうちに
頭の中で始まる。
態度も同じだった。
以前なら自然に取っていた行動を
今は一度、頭の中でなぞってしまう。
この距離は近すぎないか。
この反応は不自然じゃないか。
考えているうちに
タイミングを逃す。
結果として動きが遅くなる。
言葉が減る。
以前と同じように過ごしているつもりでも、
中身はまったく違っていた。
表面だけを見れば
大きな変化はない。
普通に会話をして
普通に一日を終えている。
でも、
自分の中では、
ずっとブレーキを踏んでいる感覚があった。
「気にしすぎてるだけだ」
何度もそう言い聞かせた。
考えすぎなだけ。
深読みしすぎなだけ。
そう思おうとすれば、
思えなくもない。
でも、
無意識の反応は
簡単には止まらなかった。
止めようとしている時点で
もう以前とは違っている。
以前の自分なら、
考えずに済んでいた場面で、
今の自分は立ち止まっている。
言葉を選び態度を測り
空気を確認する。
それは、
慎重になったとも言えるし
臆病になったとも言える。
どちらなのかはまだ分からない。
ただ、
以前のように何も考えずに振る舞うことが
できなくなっている。
その事実だけは、
はっきりしていた。
この変化は誰かに指摘されるほど
分かりやすいものではない。
でも、
自分自身にははっきりと分かる。
以前の自分と、
今の自分は同じ場所に立っていない。
それがここまでの中で
一番はっきりした変化だった。
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