整理すれば少しは落ち着くと思っていた。
頭の中で散らばっていた違和感を
一つずつ並べて位置づけることができれば
何かしらの結論に近づける。
そうすれば安心できるか
あるいは覚悟が決まるか。
どちらかには進めると考えていた。
でも実際は違った。
整理すればするほど説明できない部分が
はっきりと浮かび上がってきた。
理由が分からない。
きっかけも思い当たらない。
「いつからそうなったのか」
「何が変わったのか」
そう問い直しても
明確な答えは出てこない。
それでも確実にズレている。
感覚だけの話ではなく
事実として以前とは違っている。
言葉と行動が
微妙に噛み合わない。
口ではそう言っているのに
態度が伴っていない気がする。
態度と雰囲気が
少しだけ食い違う。
明るく振る舞っているのに
どこか距離を感じる。
表情と距離感が一致しない。
笑っているのに
心が離れているように見える瞬間がある。
一つ一つは説明しようと思えば
説明できなくもない。
疲れているだけかもしれない。
気分の問題かもしれない。
その日の調子によるものかもしれない。
でも、
そうした説明を当てはめてもどこかが残る。
すべてを覆いきれない
小さな隙間のようなものが。
その隙間が少しずつ増えていく。
大きな変化ではない。
劇的な出来事もないし
誰が見ても分かる異変が
起きているわけでもない。
日常は続いている。
会話もある。
生活も回っている。
それなのに、
元の状態に戻っているという感覚がない。
一度ずれたものが少しずつ
さらにずれていく。
元に戻ろうとしても
戻る位置が分からない。
説明できないズレは一番扱いに困る。
理由が分かれば対処のしようもある。
原因が分かれば
受け入れるか、修正するか、選択できる。
でも、
説明できないズレは否定もできない。
「そんなことはない」と
言い切る材料がない。
かといって
「そういうものだ」と
受け入れる理由も見つからない。
ただ、
「何かが違う」という感覚だけが
静かにしかし確実に積み重なっていく。
それは、
不安というよりも不確かさに近かった。
足元が少しずつ不安定になっていく感じ。
この段階に来て
違和感は単なる思い込みではなくなっていた。
思い込みなら
整理すれば消えるはずだ。
でも、
整理した結果むしろ増えている。
それが何よりの答えだった。
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